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一度聞いたら忘れられない、記名性のある歌声で知られるシンガー・ソングライター二階堂和美が、5年ぶりにオリジナルアルバム「にじみ」を出した。「天然歌少女」の面影はそのままに、長いブランクがあっただけの成長を見せた聴きものの曲がそろっている。記名性のある歌声ってどういうこっちゃろ??
カバーも多い二階堂だが、本作では全17曲、自分で書き下ろした。
「歌詞を書くのは得意じゃなかったんです。私ごときが書かなくてもすてきな曲はいっぱいある。自分の役目は歌うことだ、と。多分かっこうつけていたのだと思う。オリジナルをやって、二階堂和美の音楽ってこの程度かと思われるのが怖かった。守るものなど何もないのに、守っていた」と二階堂は告白する。
踏ん切りがついたのは、東京から広島の実家に戻ってから。「実家のお寺を手伝いながら90歳のおばあさんを2人介護し、普通の生活をしていた。私のうわさを聞きつけた地元のおばさま方の会合に呼ばれ、歌を求められることもあった。商工会議所の会議室みたいな所で歌うんですが、地方の普通の生活者に望まれるのは圧倒的に懐メロなんですね」
本作にも参加したピアニスト黒瀬みどりと出会い、「テイストは懐メロで、オリジナルの新曲ができないか」と模索し始めた。
出てくるだけで周囲が華やかになる美空ひばりや三波春夫を目指し、昭和歌謡を思わせる旋律もあれば、コブシをきかせたコミカルな演歌、サンバまである。「あなたと歩くの」「とつとつアイラヴユー」など、思わずたじろぐ一途で懸命なラブソングは、二階堂には珍しい。
「かつては確かに中性的だった。女性を前面に出すと、俗っぽい、芸術性が落ちるとでも考えていたんでしょうかね。包み隠さず、自分の言葉で女を出してしまえと、今は思える」
カメラを向けると途端にフリ付きで歌い出した二階堂和美=葛西亜理沙氏撮影
って、軽い女子なのか??
二階堂は福島原発事故以前から、地元に近い山口県上関原発の反対運動にかかわってきた。収録曲の「蝉(せみ)にたくして」は、「毎年8月6日8時15分、黙祷(もくとう)の1分間に思うことを歌った」と話す。「生きてる間は鳴くのです」という歌詞が、広島への原爆投下で一瞬のうちに消えた命と、二階堂の歌う姿勢に重なり、本作の白眉(はくび)となっている。(近藤康太郎)