東京都板橋区弥生町の不動産賃貸業瀬田英一さん(74)方で、瀬田さんと妻の千枝子さん(69)が殺害され、放火された事件。
樹木がうっそうと茂る広大な敷地内に暮らす夫妻は地元では有名な資産家だったが、「飲み代は月300万円」として周囲に振る舞い酒をするなど豪快で面倒見のいい性格に、周囲からは「犯罪に巻き込まれないか」と心配する声も上がっていた。
◆親分肌◆
「他人の土地を踏まずに池袋まで歩いて行ける、と言われるほどの大地主」。付近の住民らは瀬田さんについてこう話す。
不動産登記簿によると、瀬田さんは自宅から半径約100メートルの範囲内だけで計30筆(計約7500平方メートル)の土地を所有。賃貸住宅や駐車場を多数保有し賃料収入などを得ていた瀬田さんの暮らしぶりは有名で、「いつも上着のポケットに数十万円の現金を入れていた」と話す住民も。行きつけの飲食店で、客全員に振る舞い酒をすることもしばしば。払いはすべて現金で、釣りは受け取らず、「飲み代は月300万円」と話していたという。常連客から「会長」と呼ばれていた。
妻の千枝子さんも、趣味のパチンコを終えると、常連客を連れて食事に繰り出していたといい、親しい知人は「夫婦ともに親分肌だった」と語る。
◆用心深さ◆
一方で、用心深い一面もあった。捜査幹部によると、自宅周辺には、赤外線センサーを設置。正門や木戸の鍵も閉めたままで、来客があってもめったに自宅に入れなかったという。昼間でも電話には応答しないため、ある女性は「用件がある時はファクスや手紙で伝えていた」と話す。
瀬田さんは「雷が嫌い」と、雷雨の時は外出しないことが多かった。捜査関係者は「事件当夜は強い雷雨で、外出を控えて事件に遭遇した可能性もある」とみる。
◆知人が心配◆
全焼した自宅からは、約1000万円の現金が見つかった。「長者番付」にもしばしば名前が載った瀬田さんだが、周囲に「銀行は信用できない。私は現金主義」などと話しており、知人らは「金を持っていることを言いふらすのは危険」と心配していたという。
地元の不動産業者によると、瀬田さんは複数の不動産トラブルを抱えていた。借地人が建物を他人に譲渡する際などの承諾料を巡り、折り合いがつかず調停に持ち込まれることがあったほか、千枝子さんが「家賃を1年ぐらい滞納して、払ってくれない人がいる」とこぼすのを聞いたことがある人もいる。警視庁では、警戒心の強い瀬田さんが、見知らぬ人を簡単に自宅に入れる可能性は低いとみており、顔見知りによる犯行も視野に捜査を進めている。
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