ほれ。
当然これは「桃ラー」ではなく、リンガーハットの
激辛ラー油。
──もはやラー油は、タレやスープに数滴たらして食べるものから、
スプーン山盛り一杯をご飯にかけて食べるものに変わったようです。──
みなさん、例のラー油は買えましたか?
そう、「桃ラー」なる略称も生まれた桃屋の「辛そうで辛くない少し辛いラー油」のことです。店頭での価格は400円程度。フライドガーリックとフライドオニオンがざくざく入ったこの商品は、「食べるラー油」というコンセプトが受けて、昨年8月の発売直後から品薄状態が続く。
目を付けたのは、「マート族」だ。マート族とは月刊誌「Mart」(光文社)の熱心な読者のことで、会員登録している1万3000人がモニターとして誌面作りにもかかわる。過去にも、パナソニックの「ホームベーカリー」や、P&Gの衣料洗剤「ボールド」をヒットさせた。
■オークションで高騰
年齢層は幅広く、ほとんどが専業主婦。昨年7月にさいたまスーパーアリーナ(さいたま市)で開催された食品展示会にはマート族50人ほどが特別招待された。彼女たちが秋冬向けの新製品2000種類の中から1位に選んだのが、桃ラーだった。
「これっておかずにできるよね」
というのが1位の理由。本職のバイヤーたちが選んだのは別のタレ系調味料だったというから、眼力の確かさはすごい。
「Mart」が10月号でこの商品を紹介し桃ラー人気に火がつくと、エスビー食品も対抗商品「ぶっかけ!おかずラー油チョイ辛」(税別330円)を発売。「食べるラー油」ブームはさらにヒートアップし、いまは、両商品ともに入手困難だ。
実際に買ってみた。スーパーへ行くと案の定、
「入ってきても1ケースで、開店と同時にすぐ売り切れちゃうんです」(店員)
次にいつ入荷するかもわからないというので、オークションに参戦した。落札できたのは、桃屋とエスビーのラー油が3個ずつ、合計6個がセットになったもので、落札価格は4400円。送料を含めると5598円……。
トホホな気持ちで口に運んだが、これがうまい。ご飯と実によく合い、酒のつまみとしてもグー。白米にスプーン1杯、焼酎のつまみにもう一杯、と食べているうちに、桃ラー一瓶の5分の1近くを食べていた。
■「習慣化」にご用心
ブログに「気がつけば、ご飯2杯とラー油の半分を食べてます」と書いている女性(30歳)がいたが、確かに、病みつきになりそう。
しかし、「100g当りエネルギー656kcal」と書かれたラベルを見てびっくり。ほぼ100%油なのだから当然だが、110グラム入りの桃ラーを一度に5分の1も食べてしまうと、それだけで100キロカロリー以上を食事にオンしたことになる。
気になるのは、カロリーだけではない。
食文化史研究家の永山久夫さんによれば、唐辛子とごまを主成分とするラー油は、本来、健康にいい調味料。唐辛子には余分な脂肪分を燃焼させるカプサイシン、ゴマには抗酸化成分やビタミンEなどが含まれているからだ。しかし、
「毎日大量に食べ続け、それが習慣化すると問題です」
元々は、1滴、2滴と「滴」単位で食べるはずのラー油を、「スプーン」単位で食べるわけですからね。
「刺激が強いラー油を毎日、大量に食べ続ければ、一年もしないうちに味覚がマヒします。しかも、長く続ければメタボになり、動脈硬化を引き起こすことも十分に考えられます」
編集部 野村昌二
(5月 3-10日号)
当然これは「桃ラー」ではなく、リンガーハットの
激辛ラー油。
PR