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中国で急速に広がるペットブームに乗じ、犬の販売業者が暴利をむさぼっている実態が明らかになっている。北京・上海・広州で調査を行ったところ、犬の価格が仕入れ価格の30~50倍で売られていることが判明。犬市場が規制なしに利益を得られる“無法地帯”と化している。背景には、過熱するペットブームに行政側の管理が追いついていないこともあり、ペット市場全体の整備を求める声も上がっている。
■1匹販売で10万元の利益
北京市最大のペット用犬マーケット・愛斯達名犬交易市場によると、一般市民は各犬種の相場に疎いため、大部分が販売業者の言い値で購入していく傾向にあるという。青海省では1,000元(約1万5,000円)前後で購入できる生後30日程度のチベタン・マスティフが、北京市では3万~5万元で売れるという。
同市で最も人気がある1,000~2万元レベルのペット犬でも、繁殖・仕入れコストは1匹わずか数百元程度が相場。同交易市場に店舗を構える韓国籍業者は「30万~40万元の高値で販売されるチャウチャウ犬では、1匹販売することで10万元の利益を得ることも可能だ」と話し、“うま味”のある商売であることを示唆した。
広州市物価局の関係者は「現在ペット市場の価格設定は業者の自由。行政が法外な利益獲得に関して干渉することはできない状況」と話しており、行政としては静観の構えだ。
■繁殖場の9割無許可
インターネットサイトの中国寵物(ペット)市場網によると、北京市だけで今年7月時点にペット登録されている犬は50万匹余りに上り、年間8%ペースで増加している。
今年8月末に、北京市獣医衛生監督所が犬類繁殖場に対して行った調査では、同市の繁殖場は計125カ所に上ることが判明。しかし、業界関係者は、50匹以上の犬を飼育している繁殖場は300カ所以上、さらに小規模なところを加えると、実際に合法的に営業している繁殖場は全体のわずか10%前後しかないと指摘する。およそ9割の繁殖場が、行政の管理の目を免れていると言え、狂犬病被害が関心を集める昨今では、衛生管理などで市民に不安を与える大きな要因となりそうだ。
■ぜいたく品税の対象に?
愛斯達名犬交易市場には100軒以上のペットショップが並ぶ。多い日で1日400~500匹の犬が売れており、同市場で最高額のチャウチャウ犬は40万元という高値が付いている。
この盛況ぶりに反して、ショップ1軒が支払わなければならない各種税金は合わせてわずか200元。しかも、現在は交易市場側がすべて立て替えているため、業者の利益は巨額。業者の一人は「政府は“犬産業”をまったく一つの業界とみなして管理していない」と指摘する。
中国人民大学社会学部の洪大用教授は、「政府は犬の繁殖、販売に対しても、化粧品などに適用されている『ぜいたく品税』を徴収すべき」と強調。犬産業の暴利を抑制すれば、繁殖場、販売業者は減少する。一方で、飼育コストが上昇すれば、気軽にペットを購入する人も減り、狂犬病感染などの恐れを持つ野良犬や捨て犬も減少するという理論だ。
広東省消費者委員会の関係者は、「政府は拡大し続けるペット市場をもっと重視し、公安、商業、繁殖、衛生など各関連部門がそれぞれの責任を明確化してヤミ市場や安全といった問題を解決すべき」と主張する。
■ペット経済150億?
美容室、訓練所、ペットホテル、写真撮影など、ペット関連市場の裾野は広く、中国のペット関連産業は少なくとも150億元規模に達すると推測されている。
2001年の北京市を例に上げると、輸入物ペットフードの売上高は2億元に上り、前年比130%も増加。その後もブームの過熱に伴い、各関連商品の需要は伸び続けている。ペット用医療機関や美容院などの技術は、先進国レベルとの差が依然大きく、残された市場は巨大だ。
市民の懐具合とともに、急速に膨らんだペット市場。一大産業として健全な発展を遂げるかどうか。行政による市場管理の徹底が成功のカギを握っていると言える。【北京・新田理恵】<全国>
(c)asahi.com
敷地400平方メートル以上の住宅しか
建設できない条例改正案が検討されている芦屋市六麓荘町(手前)。
屋敷林が多いのが分かる
=11月30日午後、同市で、本社ヘリから
日本屈指の高級住宅街とされる兵庫県芦屋市六麓荘(ろくろくそう)町(252世帯)で「敷地400平方メートル以上の一戸建て」しか新築できないようにする条例改正案を4日、市が議会に提案した。相続税を払えないなどの理由で土地を手放す地主が相次ぎ、住民が求める「閑静な住宅街」の維持が瀬戸際にあるためだ。高級感を最大の特徴とする芦屋ブランドを守りたい市が、住民の要望を受け入れた形で、全国でも異例の「豪邸しか建てられない街」が生まれることになりそうだ。
六麓荘町の住民は、開発当初から町内会独自の協定を設け、高級住宅街の維持に努めてきた。協定では、建物は一戸建ての個人宅に限り、新築と増改築には町内会の承認が必要▽敷地は400平方メートル以上▽町内での営業行為は一切禁止する――などを制定。このため町内にマンションや商店はまったくない。
しかし、バブル経済の崩壊後、資金調達のために土地を売ったり、相続税を払えなくなって土地を物納したりする住民が続出。町内の物件の約7割を手がけてきたという「芦屋不動産」(芦屋市)の深見徹五郎会長によると、この15年で約50件の土地が分割されるなどして手放された。土地を差し押さえられ、競売にかけられた例もあったという。
住民の危機感が一気に高まったのが03年8月、甲子園球場のグラウンドの約半分にあたる約7400平方メートルの土地が一度に売りに出された時だ。バブル期は3.3平方メートル(1坪)あたり700万円した土地が約100万円まで下がり、協定に反して老人ホームを建てる計画が持ち上がった。住民たちの反対で一戸建て用地として分割売却されたが、住民たちは04年12月にまちづくり協議会を結成。市に条例づくりを働きかけてきた。
市が提案したのは地区ごとの建ぺい率などを定めた「建築物の制限に関する条例」の改正案で、対象地域は、六麓荘町の全体約37.7ヘクタール。400平方メートル以上の敷地への一戸建て住宅しか新築を認めない▽建物の高さは10メートル以下にする――2点が柱で、町内会の協定を踏襲した。同市建築指導課は「高級住宅地としての芦屋ブランドを守りたいという意思が住民と一致した」と説明している。
まちづくり協議会会長で、大阪土地協会理事長でもある武村泰太郎さん(77)は「土地の利用方法を条例で制限すれば価値が下がるという意見もあったが、住環境を保つための規制なのでそうはならないだろう」と話す。
関東では東京都世田谷区が、同区玉川田園調布で都市計画法に基づく地区計画で敷地を160平方メートル以上と130平方メートル以上の2種類に制限している。同区成城では自治会が「成城憲章」を定めて250平方メートルを標準的な敷地とし、相続税対策で土地を分割する際は1件の広さを125平方メートル以上とするよう定めている。
国土交通省市街地建築課の担当者は「一戸建ての敷地面積にゆとりを持たせる規制は他地域にもあるが、200平方メートル程度を確保する場合が一般的で、400平方メートル以上は聞いたことがない」としている。
<芦屋市六麓荘町> 1928(昭和3)年、大阪の財界人らが設立した「株式会社六麓荘」が、香港の白人専用街区をモデルに開発したとされる。景観に配慮して電線を地下に埋めたり、治安維持のため町内会館に駐在所を設けたりと先進的な街づくりを進めてきた。六甲山系のおいしい水を飲むために自前で浄水場をつくったこともある。町内会の入会金は50万円。(c)asahi.com
